西地区福祉委員会 憩いの家

2023年6月9日(金)簡単手作りカフェ

今月は布を使って刺し子の花布巾を作成しています。

まずはチャコペーパーで綿の布地に模様を写しとります。それから布地の周りを縫い、一針一針模様に合わせて、表裏へと糸の付いている針を進めていきます。白い布地に糸の色が模様を浮き上がらせていくと、ここまで進んだという満足感がわいてきて楽しくなります。

運針のようで簡単ではあるのですが、模様が出来上がってくると単なる布巾ではなくなってきて、額に入れて飾りたいなあと思ったりもします。このように生活の中で、ちょっとした工夫をしたら気持ちに余裕と華やかさが生まれると思います。

刺し子は、ものを大切にするという心が生んだ、日本の伝統工芸です。刺し子の歴史は、日本で綿が普及し始めた500年ほど前からと言われています。東北地方などの寒い地域では、貴重な綿製品を最後まで大切に使うため、刺し子という知恵から生まれた技法が発達して、受け継がれてきたそうです。以前青森の方が刺し子の作品を大事にしておられるのをテレビで紹介されていましたが、藍染の濃い紺の上に白糸や黒糸で細かく刺しておられる衣類などは見事でした。使って生かされてきた着物に、さらに刺し子の伝統模様の連続が加わり芸術品になっていました。

今では、簡単に運針のようにできることから、指先のリハビリ等に使われているようです。高齢者の集まりでも人気が出ているとも聞きます。昔の伝統的な文様だけでなくて、デザインも現代風に考えられ、刺繍のような要素も含まれてきているようです。皆さんの出来上がりを拝見するのが楽しみです。

付録:刺し子の伝統文様の紹介

1.各七宝、2.十字繋ぎ、3.麻の葉、4.飛び麻の葉、5.紗綾型、6.矢羽根。7.野分、8.七宝繋ぎ、9.干網、

10.青海波、11.分銅ぎ、12.花刺し などがあります。定規やコンパスを使って作らなければなかなか作れない文様です。

日本の江戸小紋の原画を母国ドイツに持って帰ったケンペルの展覧会に行ったことがありますが、その細かい規則性の連続模様の精密な文様は素晴らしく、西洋人の心をつかんだのでしょう。西洋的な伝統とは異なる文様でもあるので、本来は日本人が大事に残していくべき文様ではあるというのが見学当時の感想でした。こういう文様を見ていると、江戸時代の文様を考え出した方々は、数学的な知識があったのではないかと想像してしまいます。